細胞説


君を孕めばさびしくないのに
わたしは最小単位
君の生きる癖
沈めばずっと一緒なの
世界のすべてから守ってあげたいけれど、
 実際そんなに僕は強くないし、そんなにきみは弱くないんだろう

いたずら


少女たちの悪巧み
困らせたい気分なのです
知らない海に落とした
ほらごらん、いけない子
咎ってなあに

牡丹雪


雪に縋るとき
早鐘が息をする
溺れた蜜の味
きっと壊れちゃうね
出逢ったのはすべてが始まった春の日だった。
 想いを告げたのはきらきらまぶしい夏の日だった。
 初めて抱きしめたのはたおやかな秋の日だった。
 そしていま、冬がくる。

梅雨


優しい憂鬱
紫陽花の毒
溶けたかったんです
眠るゼリーの魚が泡
きみが泣いていませんように

硬質な固有名詞


独白
春泥
青嵐
驟雨
白川夜船




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